EMI除去フィルタ(EMC・ノイズ対策)対策部品の選び方

基本的なEMIフィルタの選び方

問題となるノイズを除去できるEMI対策部品

干渉が生じているキャリア周波数で高い除去効果を発揮できるEMI対策部品を選択します。

  • フェライトビーズの場合: キャリア周波数でインピーダンスが高いもの
  • LCタイプフィルタの場合: キャリア周波数で挿入損失が大きいもの

フェライトビーズの場合、一般タイプでは自己共振周波数の関係によりキャリア周波数のインピーダンスが不十分となる可能性があります。
その場合はGHz帯のインピーダンスが高い、BLM-Hシリーズ (GHz帯ノイズ対応) 、BLM-Gシリーズ (High-GHz帯ノイズ対応) を選択します。

信号品質を担保できるEMI対策部品

ノイズの放射源となりやすいLCDやカメラモジュールへのインターフェイスラインの信号は、扱うデータ量の増大によって高速化しています。
これにより、信号周波数とノイズ周波数が接近する傾向にあります。ノイズ対策部品によって信号の高調波成分が失われ、信号品質が低下することを防ぐため、インピーダンスカーブ/挿入損失カーブが急峻なEMI対策部品を選択します。

700MHz帯域 (Band13) のノイズ対策例

LCDデータライン

メイン・サブアンテナのアンテナが受信するノイズ測定の結果、LTEの通信帯域にノイズがアンテナに結合していることがわかりました。このため、LCDデータラインにEMI対策部品を適用しました。選定ポイントは以下の通りです。

対策部品選定のポイント

信号周波数は12MHzですが、ノイズを除去する必要のある周波数帯域が700MHzからと比較的低く、信号周波数を通す必要のある周波数帯域 (~100MHz) に対して接近しているため、挿入損失カーブが急峻で信号周波数とノイズ周波数の選択度の高いLC複合タイプのEMIフィルタを選定しました。信号線の数が多いので、アレイタイプのNFA18SLシリーズとしました。カットオフ周波数はノイズ除去効果と信号品質のバランスを見ながら調整し、220MHzのものを選定しました。

Image of selecting parts for measures

電源ライン

電源ラインも同様にノイズの放射源になるため、一般的な対策であるフェライトビーズを選定しました。選定ポイントは以下の通りです。

対策部品選定のポイント

電源ラインは低インピーダンスなのでインダクタタイプのEMIフィルタのほうが効果的にノイズを除去することができます。ノイズ除去の必要な周波数を考慮して、GHz帯までインピーダンス特性が伸び、かつ大電流に対応しているBLM15EGシリーズを選定しました。電源ラインに流れる電流値に対応した定格電流を持つフィルタを選定しています。

Image of selecting parts for power line measures

2GHz帯域 (Band4) のノイズ対策例

対策部品選定のポイント

信号周波数24MHzに対してノイズを除去する必要のある周波数帯域が2GHzと比較的余裕があるため、グランドへの接続が不要なフェライトビーズを選定しました。ただし、ノイズを除去する必要のある周波数が2GHz帯と高いため、数GHzまでインピーダンス特性の伸びるBLM15GA/GGシリーズを選定しました。今回は、その中で2GHzにおけるインピーダンスが一番高くなり、且つ、24MHzのクロック波形を崩さないBLM15GA750SN1を選定しています。

Image of selecting parts for measures (BLM15G series)

実装スペースに制約がある場合は多少ノイズ抑制効果は低下しますがBLM03HD331SN1も利用可能です。

Image of selecting parts for measures (BLM03HD series)