しかし、本体にWi-Fiモジュールを収めるノウハウを持っていないT社は、基板設計で試行錯誤を繰り返していた。
やっとの思いでWi-Fiモジュールを組み込んだ試作機を作製し、検証を開始した。ところが、通信速度が極端に低下するチャネルがあることが判った。
全ての試作機で同様の結果が出てしまったことから、アンテナまわりのマッチングを中心に何度も確認を行ったが、Wi-Fiモジュールは正常で、その他部品にも問題はなかった。
何度か検証を繰り返したところで、エンジニアの一人がノイズの可能性を疑いだし、設計メンバーはノイズの状態やその発生源を見つけ出すことにした。
しかし、T社が持っている評価設備や機器で検証を繰り返しても毎回違う結果が出るため、2週間たっても原因が突き止められず、その焦りからエンジニアが疲弊し始めた。