EMI除去フィルタ(EMC・ノイズ対策)LTEのノイズ対策講座の概要

1時限目LTEのノイズ問題について

近年、無線通信サービスの大容量化に伴い、データ伝送速度の高速化のニーズが高まってきております。このニーズを満たす無線通信規格として、世界各国の携帯キャリアが採用を予定しているLTE (Long Term Evolution) があります。この通信方式は、3G/3.5G (W-CDMA等) に比べデータ通信速度が高速であり、低遅延を実現していると共に、電波利用効率に優れていることから、今後急速に普及していくと予想されます。しかしながら、LTE対応端末自身のノイズが無線通信帯域に干渉すると、スループットや受信感度等の通信品質が劣化してしまう問題があります。この問題を解決するためには、ノイズの干渉を抑制する技術 (イントラシステムEMC) が重要となります。

2時限目ノイズ対策のための事前評価

最近の携帯端末は、データ信号 (MIPI等) の高周波化及びデジタル回路等の複合化より、通信品質を劣化させる原因は複数存在します。特にその中でも、端末自身のノイズが自身のアンテナに干渉することで、LTEの通信品質を劣化させてしまう現象が問題となります。これらの問題を解決するためには、正確にノイズ現象を把握する必要があります。具体的には下記の項目があります。

  • アンテナが受信するノイズ量の把握
  • ノイズ源とノイズ伝搬メカニズムの調査
  • ノイズと通信品質の関係についての把握

3時限目LTEノイズ対策事例の概要

前項で調査したノイズの状況に応じて、最適なノイズ対策部品を選定し、経路に挿入することにより、無線回路に混入するノイズを低減し、通信品質を向上させます。本項では実際のLTE対応端末 (Band13: 700 MHz帯、Band4: 2G Hz帯) のノイズ対策事例をご紹介します。

LTE Band13対応端末のノイズ対策事例

LCDのデータライン及び電源ラインのノイズが、アンテナに干渉することで、受信電波にノイズが混入して通信品質を劣化させておりました。通信品質を向上させるために行ったノイズ対策成功事例をご紹介します。

LTE Band4対応端末のノイズ対策事例

カメラのクロック信号の高調波成分がアンテナに干渉することで、受信電波にノイズが混入して通信品質を劣化させておりました。通信品質を向上させるために行ったノイズ対策成功事例をご紹介します。

4時限目対策部品の選び方の概要

基本的なEMIフィルタの選定方法をご紹介します。加えて、「3時限目: LTEノイズ対策事例」で紹介しましたノイズ対策部品の選定ポイントを解説します。