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LCダイプレクサ / LCトリプレクサLCダイプレクサの基礎知識

ダイプレクサ(Diplexer)とは?

2つ以上の異なる周波数帯域を持つ無線システムにおいて、複数の周波数を電気的に分離するために使用されるデバイスをマルチプレクサ(Multiplexer)と呼びます。アンテナ共用器、分波器と呼ばれることもあります。
ダイプレクサ(Diplexer)はマルチプレクサの一種で、2つの異なる周波数を電気的に分離するために使用されるデバイスです。2つの異なる周波数帯域を持つフィルタをひとつのポート(コモンポート)で共有することで実現されます。
また、3つ以上のフィルタを共有することも可能で、3つの場合はトリプレクサ(Triplexer)、4つの場合はクアッドプレクサ(Quadplexer)、5つの場合はペンタプレクサ(Pentaplexer)、6つの場合はヘクサプレクサ(Hexaplexer)と呼びます。

ダイプレクサ(Diplexer) 2つの異なる周波数帯域を持つフィルタ
トリプレクサ(Triplexer) 3つの異なる周波数帯域を持つフィルタ

ダイプレクサの構造

ダイプレクサは、ハイバンドフィルタとローバンドフィルタの移相器を介して接続した構造です。
移相器との接続点はコモンポートと呼ばれます。移相器を使用することで、通過域のインピーダンスに対して阻止域のインピーダンスが十分に高くなります。

ダイプレクサとデュプレクサの違い

ダイプレクサ(Diplexer)と似たデバイスにデュプレクサ(Duplexer)があります。無線通信の分野では、RFダイプレクサ・RFデュプレクサとも呼ばれます。
RFダイプレクサとRFデュプレクサは基本的にアンテナ共用器、分波器という点では同じですが、下記のように使い分ける場合が多いです。

RFダイプレクサ

ローパスフィルタ、ハイパスフィルタ、またはバンドパスフィルタを用いて信号を混合したり分離するため、周波数が離れている2つの比較的広い周波数バンドの分離・混合に使用されます。

RFデュプレクサ

FDD用途の送信と受信を分ける場合に使用されます。つまりQ値の高いキャビティ共振器を用いて、送信と受信が非常に近い周波数を分波・混合するデバイスを指します。

  • FDD(Frequency Division Duplex):送信と受信にそれぞれ別の周波数を割り当てる通信方式

LCダイプレクサとは?

RFダイプレクサはLCダイプレクサと呼ばれることもあります。
インダクタ(L)とコンデンサ(C)で構成しているLCフィルタを用いて作られたダイプレクサのことをLCダイプレクサと呼びます。

ムラタのLCダイプレクサは温度係数の小さいLTCC(低温同時焼成セラミックス)と銅の印刷コイルにより、多層構造のダイプレクサになっています。また、ロスが少なく電気的特性に優れており、セルラー、Wi-Fi™など様々な用途で使われています。

LCフィルタの構造、種類、LTCCの詳細については以下で説明しています。

LCダイプレクサの種類

LCダイプレクサは周波数の分け方の違いによって3種類に大別されます。

ローパス/ハイパス ダイプレクサ:Low Pass/High pass Diplexer

低域(Low)側のポートはローパスフィルタ、高域(High)側のポートはハイパスフィルタの組み合わせとなっているダイプレクサ。
一番スタンダードなダイプレクサです。

ローパス/ハイパス ダイプレクサ

ローパス/バンドパス ダイプレクサ:Low Pass/Band Pass Diplexer

低域(Low)側のポートはローパスフィルタ、高域(High)側のポートはバンドパスフィルタの組み合わせとなっているダイプレクサ。
Wi-Fiダイプレクサでよくみられる構成です。

ローパス/バンドパス ダイプレクサ

バンドパス/バンドパス ダイプレクサ:Band Pass/Band Pass Diplexer

低域(Low)側のポートはバンドパスフィルタ、高域(High)側のポートはバンドパスフィルタの組み合わせとなっているダイプレクサ。

バンドパス/バンドパス ダイプレクサ

LCダイプレクサの使用例

ムラタのLCダイプレクサの使用例をご紹介します。

Wi-Fi 6E/7

Wi-Fiは無線LANの規格のひとつであり、国際標準規格であるIEEE 802.11規格を使用したデバイス間の相互接続が認められたことを示すものです。
Wi-FiはノートPC、タブレット、スマートフォン、ゲーム機など、多様な機器に使われています。
Wi-Fiの規格であるWi-Fi 6E/7(周波数2.4~2.5GHz / 5~7.125GHz)におけるLCダイプレクサの実用例を下記に示します。

使用品番:LFD182G45PJEF833 Wi-Fi 6E/7における実用例1
Wi-Fi 6E/7における実用例2
Wi-Fi 6E/7における実用例3

他にも、ノンセルラー(Bluetooth®/Wi-Fi™/Sub-1GHz)向けの製品を多数取り揃えています。

セルラー

セルラー向けダイプレクサ、トリプレクサはチャンネル数の増加やCA導入により需要が高まっています。
各Bandや周波数に応じた製品をラインアップしており、主流な分波方法であるLB/MB、MB/HB、HB/UHBに対応したLCダイプレクサの実用例を下記に示します。

  • CA(Carrier Aggregation/キャリアアグリゲーション):無線通信を高速化する手法のひとつで、複数の搬送波による通信を一体的に運用する方式
使用品番:LFD18788MPA4F498(LB/MB)
周波数617~960MHz / 1427~2690MHzを分離するダイプレクサです。
LB/MBに対応したLCダイプレクサの実用例1
LB/MBに対応したLCダイプレクサの実用例2
使用品番:LFD2H1G44MPEF859(MB/HB)
周波数2200MHz / 2300MHzを分離するダイプレクサです。
MB/HBに対応したLCダイプレクサの実用例1
MB/HBに対応したLCダイプレクサの実用例2
使用品番:LFD181G65PAGF743(HB/UHB)
周波数617~2690MHz / 3300~5925MHzを分離するダイプレクサです。
HB/UHBに対応したLCダイプレクサの実用例1
HB/UHBに対応したLCダイプレクサの実用例2

他にも5G NR(New Radio)対応商品など、セルラー向けの製品を多数取り揃えています。

小型化ニーズへの対応

近年、スマートフォンをはじめとするモバイル通信機器の高機能化・小型化に伴い、電子部品に求められる性能やサイズ要求も高くなっています。一方で、セルラー通信のマルチバンド化などにより、ますます増加する周波数帯域に対応するにはより多くのフィルタが必要になります。
こうした背景から、限られた搭載スペースでの高密度実装が重要となっており、電子部品のさらなる小型化に対するニーズが高まっています。

ムラタでは、こうした小型化ニーズに応えるため、1005サイズの小型品やLGA端子化のダイプレクサを取り揃えています。

金属シールドから影響を受けない部品ニーズへの対応

近年のモバイルモバイル通信機器の小型化・低背化により、電子部品と端末内部の金属シールドとの距離が縮まっています。この結果、金属シールドが電子部品に近接することで干渉し、電子部品の特性が劣化することがあります。
このような状況では端末の通信速度が低下するなどの不具合が発生することがあり、金属シールドから影響を受けない部品のニーズが高まっています。
ムラタではLTCC技術に新しい工夫を取り入れ、金属シールドからの影響を最小限に抑えた“シールドロバスト”品を取り揃えています。
これにより、天面の金属シールドからの影響を最小限に抑え、金属シールドが近接した状況でも安定した特性を維持します。

側面図
製品と金属シールドとの各距離における特性シミュレーションデータ
使用品番:LFD2H1G44MPEF859(MB/HB)

金属シールドの近接による特性変化

一例として、金属シールドが近接するとより高周波側に影響が出る傾向にあるため、ここではHigh BandのInsertion lossで比較します。

※同2200/2300MHz(MB/HB)ダイプレクサのシミュレーションデータでの比較