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圧力センサ気圧センサの用途 具体的な使用例や仕組みも分かりやすく解説

気圧センサは、大気圧を測定しその圧力値を電気信号に変換する機器です。スマートフォンやドローンの自動高度調整、自動車のエンジン制御などのさまざまな分野で使用されています。本記事では、気圧センサの仕組みから用途、具体的な使用例まで詳しく解説します。

目次

  • ムラタの気圧センサは、民生機器をターゲットとして開発された製品であるため、車載用途などには対応していません。

気圧センサとは?

気圧センサとは、大気圧値や高さ変化を測定できる圧力センサの一種です。この気圧センサを利用することで、高度測定や高低差の算出が可能となり、さまざまな情報を取得できます。たとえば、スマートフォンやスマートウォッチに組み込むと、GPSだけでは補正が難しい高さ方向の位置情報(高度や垂直方向の移動)を、気圧データで補正できます。これにより、位置情報に加え、建物の何階にいるかといった情報を得ることが可能です。また、ドローンに搭載すると、空中で静止する状態(ホバリング)や、設定した高度を維持して、飛行する際の制御に役立ちます。さらに、大気圧の測定にも利用できます。気圧の低下によって低気圧の接近を把握し、天気の変化を予想します。また、圧力差を知ることにより空気の流れを計算できるため、掃除機の吸引力のモニタリングにも使用されています。このように、気圧センサは高度の変化や気流など空気の動きを可視化できることから、モバイル・ウェアラブル機器から家電、医療機器まで幅広い分野で活用されています。

気圧センサの主な用途

主な用途は次の3点です。

  • 高度・位置情報の計測
  • 気象・環境のモニタリング
  • システム制御と安定化

いずれの用途でも共通しているのは、大気の圧力変化を正確に測定し、人や機器の動作、環境情報を可視化するという点です。以下にそれぞれの用途について詳しく解説いたします。

高度・位置情報の計測

気圧は高度が上がるにつれて低下します。この性質を利用し、気圧センサで大気圧を測定することで、高度や高低差など立体的な位置情報や移動状況を正確に把握できます。スマートフォンなどに搭載されることで、GPSだけでは取得しにくい垂直方向の移動情報を補完します。具体的には、屋内での階段昇降や建物内のフロア間移動を検知し、活動量や消費カロリーの算出精度を高めます。また、気圧センサは機器に直接取り付けられるため、GPS信号が届きにくい屋内や地下空間でも利用可能です。応答速度も速いため、位置変化をリアルタイムに把握できる利点があります。これらの特性のより、ドローンの高度維持やロボットの自動制御にも欠かせないセンサとして活用されています。

気象・環境のモニタリング

低気圧が近づくと大気圧は下がり天気は悪くなるなど、大気圧の変化は気象現象と密接に関係しています。このため気圧センサは、気象予測や環境状態の監視にも利用されています。気圧センサで気圧の急変を検出し、気圧の変動パターンから気象変化を予測することで、より精度よく天気の変化を予測できます。外出時の傘の準備はもちろん、屋外イベントの管理や防災対策など気象予測を通して事前に適切な対策を講じることが可能です。さらに、CO2濃度、温度、湿度データに気圧情報を組み合わせることで、空間の状態を多角的に可視化できます。これは、空間可視化ソリューションとして、店舗などにおける感染症対策に役立てられています。

システム制御と安定化

気圧差は風を生み出します。2点間の気圧差を測定することで風の強さを把握できるため、気圧センサは空調機器や掃除機などの制御にも利用されています。たとえば、エアコンや掃除機などのフィルタの目詰まりや吸引力の変化を気圧センサで検知し、自動で吸引力を調整するシステムとして利用されています。また、標高が高い地域では気圧が低下し、車のエンジンの吸気性能が低下しますが、気圧センサでその変化を検知し補正することで、エンジン性能を安定的に維持することが可能です。このように、気圧センサは特に高度や環境の変化に応じた自動調整機能で重要な役割を果たしています。

気圧センサの主な使用例

気圧センサは、スマートフォンなどのモバイル・ウェアラブル機器から、家電製品・IT機器、自動車などのモビリティ、気象観測機器、医療機器まで、幅広い分野で利用されています。ここでは、代表的な5つの分野に分けて、気圧センサがどのように役立っているのかを紹介します。

モバイル・ウェアラブル機器

モバイル・ウェアラブル機器では、スマートフォンやスマートウォッチ、タブレットなどへの搭載が多く見られます。これにより、従来は計測できなかった高さの情報を取得できるようになり、活動量の計測や階段昇降検知、フロア判定などができるようになりました。

製品名 使用例
スマートフォン・タブレット 活動量計測、階段昇降検知、屋内ナビゲーション、フロア判定など
スマートウォッチ 気圧値の取得、高度計測、活動量計、階段昇降検知、転倒検知など
アクティブトラッカー アクティビティトラッキング、正確な標高と垂直速度の計測、気圧値の取得
サイクルコンピューター 高度計測、道路の勾配測定

スマートウォッチやアクティブトラッカーに組み込むことで転倒検知も可能となり、歩行に困難がある方などのサポートとして活用できます。また、自転車に設置するサイクルコンピューターでは、高度とともに道路の勾配も測定できます。坂道の勾配を把握することで、次回のルート選択や、スピードの調整の参考になります。勾配データは、より快適に、より安全にサイクリングを楽しむためのツールになります。このようにモバイル・ウェアラブル機器では、主に位置情報や高度の計測に使われています。

家電製品・IT機器

家電製品・IT機器では、ファンなど吸排気を行う機器内の気圧変化を測定するために、気圧センサが使用されています。気圧差は吸排気力と密接に関係しており、気圧差が小さくなると吸排気力が低下します。このため、気圧差を測定することでフィルタの目詰まりや機器の異常を即座に検知できます。

製品名 使用例
ロボットクリーナー・掃除機 吸引力検知、ダストボックス残量検知、フィルタ目詰まり検知
洗濯機・ドラム式洗濯機 気流や水位の監視
エアコン 気圧検知による室温制御
空気清浄機 フィルタ目詰まり検知
プロジェクター フィルタ目詰まり検知
ハードディスクドライブ リークレート検出

洗濯機では、通気管内の気圧を測定することで水位を監視でき、水位計として使用されています。また、ハードディスクドライブやバッテリーパックでは、内部に充填されているガスの漏れを検出し、異常を把握できます。このように家電製品・IT機器では、主に製品の正常動作を維持するためのシステム制御や安定化に利用されています。

モビリティ

モビリティ分野では、高度と吸排気力の測定に気圧センサが利用されています。

製品名 使用例
ドローン 高度の正確な把握、ホバリング・自動離着陸の実現
航空機 高度計として飛行高度の正確な測定
自動車 エンジン制御の高度補正、カーナビの精度向上

ドローンや飛行機に搭載することで、高精度な高度測定が可能となり、安定したホバリングや自動離着陸も可能になります。また、高度の変化に応じたエンジン制御の補正や、正確な高度情報によるカーナビの精度向上にも寄与します。このようにドローンや航空機では、主に高度測定に利用されており、安全な飛行を支える重要な役割を担っています。

気象観測機器

気象観測機器としては、気圧の変化を測定することで天気予測や環境監視に使用されています。

製品名 使用例
気象ステーション 天気の予測、微気象の予測
デジタル気圧計 気象観測や標準計測

気圧センサは気象ステーションやデジタル気圧計に搭載され、大気圧の変化を高精度に測定することで、天気予報や微気象解析に不可欠なデータを提供します。大気圧の変化は前線の通過や低気圧・高気圧の動きを示すため、センサにより継続的に測定することで風向や降雨の予測精度を向上させることができます。さらに、取得した気圧データは高度計算にも利用され、気象観測用バルーンやドローンなどの位置情報補正にも役立っています。

医療機器

医療機器分野では、気圧の変化を計測することで主に吸引や呼吸の状態をモニタリングします。

製品名 使用例
スマートインヘラー 吸引数カウント、吸引フロー計測
CPAP 環境補正、マスクリーク検知
人工呼吸器 環境条件の監視、搬送時の気圧変化監視

たとえば、スマートインヘラー、吸引数や吸引フローを計測することで、安全で効果的な治療薬の投与を支援します。呼吸器疾患患者への治療薬投与の際の吸引数のカウントや吸引フロー計測を通してより安全で効果的な治療薬投与を行うことができます。無呼吸症候群の治療法であるCPAP(シーパップ : 持続陽圧呼吸療法)では、環境補正やマスクリーク検知を行い、適切な空気量を気道に送り込むことで睡眠中の無呼吸を防止します。さらに、人工呼吸器においては、環境条件や搬送時の気圧変化の監視にも用いられます。このように医療機器では、安定した治療効果を提供するためのモニタリング用途として活用されています。

気圧センサの種類と仕組み

近年の気圧センサは、MEMS(Micro-Electro-Mechanical Systems)技術の進化によって、小型化、高精度化が大きく進んでいます。MEMS技術とは、半導体製造プロセスを応用して微細構造をシリコン基板上に形成する技術で、従来の機械式センサでは実現できなかった精度と安定性を両立しています。MEMS気圧センサには主に、「ピエゾ抵抗方式」と「静電容量方式」の2種類があります。どちらもダイアフラム(薄膜)の性質を利用していますが、その検出方法と特性には明確な違いがあります。以下にそれぞれの測定原理を解説します。

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静電容量方式 ピエゾ抵抗方式
静電容量方式のイメージ図
ピエゾ抵抗方式のイメージ図

ピエゾ抵抗方式

ピエゾ抵抗方式は、圧力による変形で半導体の抵抗値が変化する性質を利用します。シリコンダイアフラム上に配置されたピエゾ抵抗素子が、気圧による応力を受けると抵抗値が変化します。この変化をブリッジ回路などの回路で検出し、電気信号として出力することで圧力を測定します。構造がシンプルで小型化しやすい点が特徴です。

静電容量方式

静電容量方式は、気圧によって変化するダイアフラムと固定電極板の距離に応じて、静電容量が変化する性質を利用した方式です。気圧が上昇するとダイアフラムが押し下げられ、電極間距離が短くなることで静電容量が増加します。逆に気圧が低下すると距離が広がり、静電容量が減少します。この変化を電気信号に変換し、気圧として出力します。静電容量方式は、ピエゾ抵抗方式と比べて低ノイズ、低消費電流であり、温度変化の影響が少ないという特長があります。ムラタの気圧センサは、この静電容量方式を採用しています。

ムラタの気圧センサが選ばれる理由

ムラタの気圧センサは、自社開発のMEMS・ASICと、封止技術を活用したパッケージを組み合わせることで、小型化を実現します。そのため、限られたスペースで高精度なセンシングが求められるスマートフォンやスマートウォッチなどの小型機器にも搭載可能です。センシング方式には静電容量方式を採用し、超小型でありながら高精度、低ノイズ、低消費電力を実現しています。これにより、スマートデバイスから産業機器まで幅広いニーズに対応します。さらに、優れた温度特性により環境変化に強く、寒冷地や高温環境でも安定した測定が可能です。
スマートフォンやスマートウォッチなど、さまざまな使用環境が想定されるデバイスでは、防水性や堅牢性も重要です。ムラタの気圧センサは、内部にMEMSやASICをゲルで封入する構造を採用し、湿気に弱いセンサ内部を保護しながら外気変化を迅速に取り込みます。さらに、高い防水性能と耐久性を確保し、温度変化に対しても安定した動作を実現します。こうした特性により、ムラタの気圧センサは防水仕様のスマートウォッチやスマートフォンに最適であり、GPSの高度補正や気圧変化検知などの精度向上に寄与します。このほか、電化製品やなど幅広い分野でご使用いただけます。

詳しくは下記をご覧ください。

下記のページから資料のダウンロードも可能です。ぜひご検討ください。

まとめ

気圧センサは、大気圧の変化を検知して高度、気流環境状態を把握するためのセンサです。スマートフォンやウェアラブル機器では位置情報の補正や活動量の測定に、家電や自動車ではシステムの最適制御や省エネルギー化に活用されています。さらに、防災や医療、スマートシティといった社会インフラにも利用が広まっています。ムラタの気圧センサは静電容量方式MEMS技術を採用し、小型ながらも高精度、高い安定性、低ノイズ、低消費電力、高い防水性を実現している点が大きな特長です。このため、スマートウォッチやスマートフォンといった携帯型デバイスでも安定して動作します。
ウェアラブル、モビリティ、スマートシティなどIoT化が進む中、気圧センサはさらに多様な場面で求められるでしょう。ムラタはその進化を支える技術パートナーとして、高い信頼性で使いやすいセンシングソリューションを提供し続けます。