水晶振動子ドライブレベル 測定方法の基礎知識

ドライブレベルとは

ドライブレベルとは、発振回路が動作している状態において振動子で消費される電力を指します。
ドライブレベルがその振動子の仕様を超えている場合、発振周波数および等価直列抵抗R1が変動するなどの不安定な現象が起こり得ますので、仕様を超えない条件で使用することが大切です。

測定方法

計算方法(判定)

ドライブレベルは「励振電流(振動子に流れる電流)値」と「振動子の等価直列抵抗値」を用い、以下の式で算出できます。

ドライブレベル = I² ・R1

I
励振電流 [実効値]
R1
振動子の等価直列抵抗値

励振電流とは発振回路が動作している状態において、振動子に流れる電流です。実際の発振回路上で測定を行うことで確認できます。R1はネットワークアナライザなどの測定器で測定します。

ドライブレベル 測定方法例

  1. 測定に必要なもの
    • 実装基板
    • 振動子(等価直列抵抗の実力値データが必要)
    • オシロスコープ、電流プローブ
  2. 図のように振動子にリード線をはんだ付けし、電流プローブを取り付けます。
  3. 電流プローブ接続図。振動子の一方の電極をはずし、振動子と基板をリード線で接続します。そのリード線を基板にはんだ付けする前に、電流プローブにリード線を通しておきます。
  4. 基板に電源を投入し、励振電流波形をオシロスコープに表示します。
  5. 表示した波形から、電流の実効値を求めます。
    波形が正弦波の場合(または正弦波に近い場合)は、Ip-p/2√2で実効値を計算できます。デジタルオシロスコープであれば、オシロスコープの機能で実効値を表示できます。
  6. 前項の式から、励振電力を計算します。
通常使用状態の発振回路図。励振電流は、振動子のみ流れる電流を測定します。その為、電流プローブは図中の点Aに取り付けます。

判定

測定したドライブレベルが、対象となる振動子のドライブレベル規格を超えない状態でご使用ください。