TVSダイオードとバリスタ、サプレッサの違いについて、さまざまな観点から比較します。また、それぞれのESD保護素子の用途と特徴についてまとめます。
TVSダイオードとバリスタ、サプレッサについて、使用箇所やアプリケーション例、メリット、デメリットの違いを以下の表に示します。
バリスタはセラミックベースのESD保護素子で、電源ポートやデータラインに多く用いられます。
注意点として、高容量品になるほど放電特性に優れている反面、0.5pF以下の低容量品が求められるRFポートではバリスタが持つ静電容量が大きいため使用できないことが挙げられます。
また、低価格であることがメリットである一方、ESDが繰り返し印加されると絶縁抵抗の劣化(ショート不良)が生じる可能性があります。
サプレッサはセラミックベースのESD保護素子で、Wi-Fi®、Bluetooth®などの出力の大きいRFポート(アンテナポート)やデータラインなどで使用されます。静電容量が0.1pF以下と非常に小さいため、高速な信号伝送ラインでのESD対策に適しています。
一方で、TVSダイオードと比較して低電圧ではESD保護が働かないことや、応答速度が遅いことがデメリットとして挙げられます。
TVSダイオードは半導体ベースのESD保護素子で、電源ポートやUSBポート(USB 1.1~USB 3.2)、HDMIポート(HDMI 1.0~2.0)などのデータライン、NFCのような出力電力が低いRFポートや受信のみのGPSのRFポートなどにおけるESD保護に使用されます(詳しくは「TVSダイオード(ESD保護デバイス)」TVSダイオードの使用例をご参照ください)。
サプレッサのように出力の大きいRFポートには使用できませんが、TVSダイオードは低出力のRFポートやGPSアンテナの受信ラインにおいて高い放電特性を有しています。
TVSダイオードはESDが侵入した際に作動するまでの応答速度がピコ秒オーダーと高速であり、バリスタやサプレッサとの大きな違いでありメリットです。バリスタやサプレッサと比較すると高コストではあるものの、高性能かつ高コストなICを搭載した電子機器などにおいて、高速伝送を行うデータラインなどからのESD保護に用いられています。
TVSダイオードの応答速度はピコ秒オーダーで、3つのESD保護素子の中で最も応答が速い