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TVSダイオード(ESD保護デバイス)TVSダイオードとは?他のESD保護素子との違いや特徴

TVSダイオードとは?

TVSダイオードの主な役割は、機器内部に侵入したESDをグランドへ逃がすことです。TVSダイオードがない場合、外部インターフェースから侵入した数千VのESDは内部のICに直接印加されます。

ESD保護素子(TVSダイオード)を使用しておらず、電子機器のインターフェースからESDが侵入して内部のICに印加する仕組みを図解。

それに対して外部インターフェースとICの間にTVSダイオードを設置している場合は、TVSダイオードを介してグランドと導通するため、ESDを逃がすことができます。通常時のICが駆動している電圧(数V)ではグランドと絶縁しているため、データ通信を妨げることはありません。数十から数千V印加時には導通し、数V印加時には絶縁していることがTVSダイオードに必要な機能です。

TVSダイオードをデータライン上に設置し、ESDありとなしの場合でどう作用するかの図解。通常時、TVSダイオードにはほぼ電流が流れない状態で、インターフェースから入ったデータがICに伝送される。ESD侵入時はデータをICに送りながら、TVSダイオードはESDの高電圧をGNDに逃がす。

下のグラフは、TVSダイオードの有無によるIC側の電圧の違いを示したものです。ここではコンデンサ(キャパシタ)と内部抵抗を内蔵したESDガンを用いて8 kVのESDを印加し、デバイス通過後の電圧値をオシロスコープで測定しています。グラフの波形から、TVSダイオードがあることでIC側に加わる電圧が大幅に抑制できていることが分かります。

TVSダイオードのあり/なしの試験デバイスにESDを与えた際の電圧(縦軸)とその継続時間(横軸)を比較したグラフ。TVSダイオードありではESDの高電圧を素早く逃がし、その状態を維持していることを示す。この試験ではESDガンで試験デバイスに高電圧を加え、アッテネーターを介してオシロスコープで電圧測定するESD試験機の図解も併載。

TVSダイオードとツェナーダイオードの違い

TVSダイオードはツェナーダイオードの一種です。
定電圧ダイオードとTVSダイオードとの違いは、定電圧ダイオードが電圧を安定させるために使用するのに対し、TVSダイオードはESDのような過渡電圧を防ぐために使用されるといった特性があります。
またTVSダイオードには以下赤枠の項目でESDに関するスペックの記載がありますが、定電圧ダイオードには記載がありません。

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Parameter Reverse
Stand-off
Voltage
Channel
Leakage
Current
Break
down
voltage
ESD per IEC
61000-4-2
(air)
ESD per IEC
61000-4-2
(contact)
ESD per IEC
61000-4-5 (Surge)
(8/20μs)
Capacitance
Symbol VRWM Ileak Vbr Vesd Vesd Ipp C
Unit V uA V kV kV A pF
Condition VPin1=5V,
VPin2=0V
Ibr=1mA,
Pin1 to Pin2
Ta=25℃ Ta=25℃ VPin1,2=0V,f = 1MHz,
Between Channel pins
LXES1UTAA1-157
LXES1UTBB1-157
+/- 6.0 1.0 (max) 7 (min) +/- 15 +/- 8 1.5 0.5

TVSダイオードとバリスタ、サプレッサの違い

TVSダイオードとバリスタ、サプレッサの違いについて、さまざまな観点から比較します。また、それぞれのESD保護素子の用途と特徴についてまとめます。

バリスタとサプレッサ、TVSダイオードの比較

TVSダイオードとバリスタ、サプレッサについて、使用箇所やアプリケーション例、メリット、デメリットの違いを以下の表に示します。

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バリスタ サプレッサ TVSダイオード
使用箇所 電源ライン、データライン 高出力RF信号ライン、データライン 電源ライン、データライン、低出力RF信号ライン
アプリケーション例 高電圧系の電源ラインなど Wi-Fi®、Bluetooth®のアンテナ電源ラインなど USB データライン
USB、GPS電源ラインなど
メリット 高い放電特性(高容量品に限る) 0.1pF以下の低静電容量 高い放電特性
ESDが侵入した際の応答が速い
デメリット 低容量(0.5pF以下)での使用が難しい
出力の大きいRFポートには使えない
低電圧の印加時に作動しない 出力の大きいRFポートには使えない

バリスタの用途と特徴

バリスタはセラミックベースのESD保護素子で、電源ポートやデータラインに多く用いられます。
注意点として、高容量品になるほど放電特性に優れている反面、0.5pF以下の低容量品が求められるRFポートではバリスタが持つ静電容量が大きいため使用できないことが挙げられます。
また、低価格であることがメリットである一方、ESDが繰り返し印加されると絶縁抵抗の劣化(ショート不良)が生じる可能性があります。

サプレッサの用途と特徴

サプレッサはセラミックベースのESD保護素子で、Wi-Fi®、Bluetooth®などの出力の大きいRFポート(アンテナポート)やデータラインなどで使用されます。静電容量が0.1pF以下と非常に小さいため、高速な信号伝送ラインでのESD対策に適しています。
一方で、TVSダイオードと比較して低電圧ではESD保護が働かないことや、応答速度が遅いことがデメリットとして挙げられます。

TVSダイオードの用途と特徴

TVSダイオードは半導体ベースのESD保護素子で、電源ポートやUSBポート(USB 1.1~USB 3.2)、HDMIポート(HDMI 1.0~2.0)などのデータライン、NFCのような出力電力が低いRFポートや受信のみのGPSのRFポートなどにおけるESD保護に使用されます(詳しくは「TVSダイオード(ESD保護デバイス)」TVSダイオードの使用例をご参照ください)。
サプレッサのように出力の大きいRFポートには使用できませんが、TVSダイオードは低出力のRFポートやGPSアンテナの受信ラインにおいて高い放電特性を有しています。

TVSダイオードはESDが侵入した際に作動するまでの応答速度がピコ秒オーダーと高速であり、バリスタやサプレッサとの大きな違いでありメリットです。バリスタやサプレッサと比較すると高コストではあるものの、高性能かつ高コストなICを搭載した電子機器などにおいて、高速伝送を行うデータラインなどからのESD保護に用いられています。

ESD印加時の応答速度の比較 ESD印加時におけるバリスタ・サプレッサ・TVSダイオードの応答速度をグラフで比較。縦軸がV(ボルテージ)で横軸が時間(ナノ秒)。バリスタとサプレッサの応答開始時間が1.0ナノ秒以上かかるのに対し、TVSダイオードはピコ秒オーダーと最も応答が速いことを示す。

TVSダイオードの応答速度はピコ秒オーダーで、3つのESD保護素子の中で最も応答が速い

動画 ESDから電子部品を守るTVSダイオード

この動画ではTVSダイオードが必要な理由、使い方、ムラタのTVSダイオードの特長についてご確認いただけます。

ムラタのTVSダイオードは、高い静電気抑制力を有しています。DCから高速伝送まで対応する製品や、基板面積削減に貢献する小型サイズの製品も提供しています。

詳しくは「TVSダイオード(ESD保護デバイス)LXES Tシリーズ」製品ラインアップをご覧ください。

ESD対策(静電気放電対策)とTVSダイオード(ESD保護デバイス)の基礎知識

本サイトでは、ESDとは何なのか、また、その対策部品であるTVSダイオードとはどういうものか、その機能や種類、ムラタ製品の特徴をご紹介します。

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