ここでは、現代のテクノロジー環境においてESD破壊リスクが増加している背景と、ESD対策の重要性について解説します。
近年、PCをはじめ、スマートフォンやタブレットなどの電子機器は、世界中の人々にとって生活必需品となっています。これらの機器は、充電やデータ通信のためにUSBポートなどの各種インターフェースを備えています。
また、周辺ガジェットも低価格化と高機能化が進み、リチウムイオン電池を搭載し、高速充電や高速データ通信に対応した製品が急増しています。
このような電子機器の普及にともない、製造工程だけでなく、消費者の使用環境においてもESD破壊のリスクが増加していると言えます。
たとえば、大量生産・大量消費されているスマートフォンや各種ガジェットが、消費者の使用中にESD破壊を起こした場合、カスタマーサポート対応にともなう人的コスト、輸送コスト、保証修理コストなどが発生します。さらに、ESD対策が不十分な製品が市場不具合として顕在化し、販売停止やリコールにいたった場合には、企業にとって非常に大きな損失につながります。
そのため近年、電子機器の設計においては、製品内部でのESD耐性設計がますます重要視されています。こうした背景のもと、ESD保護素子のひとつとして「TVSダイオード」の採用が拡大しています。
ESD保護素子には、TVSダイオードのほか、「バリスタ」、「サプレッサ」などの種類があり、許容エネルギー、応答速度、寄生容量※4、クランプ電圧※5などの特性とコストがそれぞれ異なります。用途やインターフェース条件に応じて、適切な素子を選定することが重要です(詳しくは、「TVSダイオードとは?他のESD保護素子との違いや特徴」TVSダイオードとバリスタ、サプレッサの違いをご参照ください)。
なかでも半導体ベースのTVSダイオードは、応答速度が速く、寄生容量を低く抑えやすいため、高速データライン(USB、HDMIなど)や高周波信号ラインにおけるESD保護用途に適しています。また、充電用の電源ラインにおいても、回路条件に応じて、他の保護素子やフィルタと組み合わせて使用されるケースが一般的です。
適切に設計されたTVSダイオードをインターフェース近傍に配置することで、ESDによる過電圧・過電流をバイパスし、ICなどの半導体デバイスへのストレスを低減できます。これにより、製品出荷後のフィールド環境においても、ESD起因の誤動作や潜在故障リスクの低減に寄与します。
村田製作所(以下、ムラタ)では高速伝送やDC電源といった現代のニーズに対応し、高い静電気抑制力と小型化を実現したESD保護素子「TVSダイオード」をラインアップしています。