AMRセンサ(磁気センサ)AMRセンサ 基礎知識ー 用語集-AMRセンサ(磁気センサ)

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50音

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ま行
や行
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わ行

A-B-C

AMR

AMRとはAnisotropic Magneto Resistanceの略で異方性磁気抵抗の意味です。AMRセンサには磁界を検出できる磁力線の向き、検出できない磁力線の向きがあります。

G-H-I

Hoff

HoffはAMRセンサがOFFする磁界の強さです。
データシート上の数値は一定の条件でこの製品が必ずOFFする磁界のことです。

Hon

HonはAMRセンサがONする磁界の強さです。
データシート上の数値は一定の条件でこの製品が必ずONする磁界の強さのことです。

IC

  • ICは素子と同じ基板上に形成されたデジタル処理を行う回路です。
  • 受ける磁界の強さによってアナログで変化する電位差が一定の閾値を越えると出力が変わります。出力はHiかLoのどちらかしかないため、信号処理が簡単です。

M-N-O

mT

ミリテスラ。磁束密度の単位の名称です。(Si単位)
CGS単位のガウスは「1mT=10ガウス」にて換算します。

あ行

アナログ出力

  • ほとんどのAMRセンサは出力がHi/Loのデジタル出力でスイッチ用途ですが、一部のセンサには素子のみで構成されて出力電圧がアナログで出力された商品もあります。一般向けではございません。
  • 処理回路が内蔵されているデジタル出力タイプをご検討ください。

応答周波数(駆動周期)

あるタイミングでONできる磁界があるかないか見に行きます。このタイミングが駆動周期です。駆動周期が速いほど回転検知などに使われますが、消費電流が大きくなります。駆動周期が遅いほど消費電流を抑えることができ、開閉検知などのアプリーケーションに使用されます。

温特

AMRセンサの中のパーマロイ(Ni-Feの合金)は外部の温度により感度が変化します。一般に低温になると高感度、高温になると低感度になります。
また、一部のAMRセンサには低温になると低感度、高温になると高感度になるような温度補正回路が内蔵されていて、パーマロイの温度特性と相殺して、センサとしての感度変動量を小さくしています。

か行

感度

AMRセンサがON(またはOFF)する磁力の強さです。0(ゼロ)もしくは弱い磁界でOFFしていたAMRセンサがONする時の磁力をON感度(Hon)、強い磁界でONしていたAMRセンサがOFFする時の磁力を感度(Hoff)といいます。

感度ばらつき

AMRセンサの感度は個々のAMRセンサで異なります。データシート上のHon・Hoffはその製品がどの範囲に入っているかを示しています。

強磁性金属

  • AMRセンサの磁気抵抗部分はNi・Fe・Coなどの合金薄膜で、この合金が強磁性金属です。
  • 強磁性金属は外部磁界により電気抵抗が変化します。
  • 強磁性金属は外部磁界の印加により原子レベルにおいて 3d-bandの電子軌道面の回転が起こり、電子の元々持つスピン軌道の相互作用と相まって3d-bandの電子分布に歪みが発生 (d-bandの波動関数が歪曲)します。 このため、電子はエネルギー的に安定化を求め、異なる電子軌道である4s-bandへの伝導電子出現確率の変化を起こし、電気抵抗の変化となって現れます。

さ行

磁気抵抗効果

磁気抵抗素子に使われているNi, Fe, Coなどの強磁性金属を主成分とする合金の薄膜は外部磁界の印加により原子レベルにおいて3d-bandの電子軌道面の回転が起こり、電子の元々持つスピン軌道の相互作用と相まって3d-bandの電子分布に歪みが発生 (d-bandの波動関数が歪曲)します。
このため、電子はエネルギー的に安定化を求め、異なる電子軌道である4s-bandへの伝導電子出現確率の変化を起こし、電気抵抗の変化となって現れます。
この現象を磁気抵抗効果と呼びます。

消費電流

  • ARMセンサ単体で消費する電流です。
  • センサ内部のIC回路、磁気抵抗に流れる電流により消費されます。
  • 消費電流は電源電圧に依存します。電源電圧が大きいほど消費電流は高くなります。

素子

  • 素子はアナログ出力タイプを指します。
  • 磁石の近付き方や磁石の回転位置をアナログ出力で取り出せます。
    アナログ出力は信号処理側の性能により分解能を大きくとることができます。

た行

チャタリング

一定の状態でON・OFFを繰り返す状態のこと。電源電圧を外付け抵抗などで調整したり近くにコンデンサがないと、内部間欠動作において電流を大きく消費する瞬間に電圧がドロップし、ONできなくなることがあります。ONするぎりぎりの磁界でこの状況がおきるとチャタリングのようにHi・Loを繰り返すことがありますので注意して下さい。

抵抗値

  • AMRセンサは磁力によって変化する抵抗を使用しています。
  • 抵抗値は製品によって異なりますが、数百~数百kΩと様々です。磁力の大きさ、向きにより最大で3%程度変化します。
  • 抵抗値が大きいほど消費電流が抑えられるメリットがある反面、電流経路が長くなるため素子の大型化が生じてしまいます。細い素子にしてしまうとプロセスの安定、十分な変化が得られないなどの問題も出てきます。
    センサを小型で低消費電力とするための工夫が村田製作所のAMRセンサには施されています。

動作磁界

  • AMRセンサがON(またはOFF)する磁力の強さで、単位はmT(ミリテスラ)で規定します。
  • 弱い磁界でOFFしていたセンサがONする時の磁力をON感度(Hon)、強い磁界でONしていたセンサがOFFする時の磁力を感度(Hoff)と言い、Hは磁束密度を表します。

は行

パーマロイ

Ni-Feの合金です。特定方向からの磁界を受けると抵抗値が変化する特性があります。AMRセンサはこの特性を利用して磁気スイッチの動作を行います。

ヒステリシス

AMRセンサの出力がONになる時、またはOFFになる時の磁束密度の差(設定幅)の事をヒステリシスと言います。
AMRセンサは出力がHighとなる磁束密度とLowとなる磁束密度をずれるよう設計しており、これによりスイッチイングのチャタリング現象が防止できます。

  • データシート上のHonとHoffとの差(例:MRMS501A-001の0.5~2.5mT)ではありません。
    (品名・個体差によっても異なりますが、ヒステリシスは約0.1~0.4mT程度です。ヒステリシスの大きさはスペックでは定めていないのがほとんどです。)

非接触

  • 直接触れずに操作できることです。
  • AMRセンサの場合、センサが実装されている基板は製品の中にあることで。
    • センサが直接見えない。
    • 防水構造にしやすいスイッチ
    • 一般のユーザには知られたくないスイッチ
  • など、ケースが磁力を透過する材質であれば外面からの操作ができるなど、非常に適用範囲の広い使い方ができます。

  • リードスイッチが動作する場所には接点があり、AMRセンサは接点がありません。耐衝撃や振動など動作環境が悪い場所でもAMRセンサの方が高い信頼性となることがあります。リードスイッチと同じ磁石をそのまま使える可能性もあります。