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PTCサーミスタ(ポジスタ)アプリケーションノート 過熱保護・過熱検知

過熱保護・過熱検知とは

過熱保護・過熱検知は、電子機器や電気回路の安全性を確保するために不可欠な機能です。機器内部や回路上の温度が異常に上昇した際に、その状況を迅速かつ正確に検知し、過熱による故障や火災、性能劣化を未然に防止します。
過熱検知では、温度の上昇をセンシング素子で感知し、一定の閾値に達した場合に警告信号を出したり、回路を遮断したりすることで機器を保護します。これにより、安全な動作環境を維持し、機器の長寿命化や信頼性向上に貢献します。
過熱保護・過熱検知は、スマートフォンやウェアラブルデバイス、AIサーバ、自動車、産業機器など、さまざまな分野でますます重要視されています。温度管理を正確に行うことで、機器の安全性とユーザーの安心を支える重要な役割を担っています。

ポジスタによる過熱保護・過熱検知としての特徴

プログラム不要で回路設計が容易

ポジスタの抵抗温度特性を活かして、過熱状態を判断する出力電圧の閾値を設定するだけで、簡単に過熱検知回路が実現できます。通常時と過熱状態の出力電圧の変化量が十分大きいため、一般の温度センサのように、温度情報をデジタルに変換するためのA/Dコンバータが不要です。

多点検知

複数箇所の過熱状態を単純な多連接続回路で一括検出することが可能です。
回路例を用途・使用例に示します。

耐ノイズ性

通常時と過熱状態の出力電圧の変化量が大きいため、実使用でのノイズの影響が小さくなります。

安全規格認証

ポジスタはUL/cUL、IEC(TUV)の安全規格を認証しており、機器の安全規格認証に役立ちます。

  • 一部対象外の品番もございますのでこちらを参照ください。

過熱検知用温度センサの比較

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Digital IC NTCサーミスタ PTCサーミスタ 比較ポイント
(PTCサーミスタの特徴)
外観
Digital ICの外観
NTCサーミスタの外観
PTCサーミスタの外観
サイズ 3.0×3.0mm 0402mm~ 0603mm~ 0603mm~の小型ラインアップを有している
検知温度精度 ±2.0~3.0℃ ±0.5~1.5℃ ±3.0~5.0℃ 他温度センサに対して温度検知精度では劣る
ICポート ★★
1port/circuit

1port/NTC
★★★
1port/circuit or no need
ひとつのPort(温度検知回路)で複数の発熱ポイントを検出可能、NTCでは1ポイントにつき1portが必要となる
温度検知 使用温度範囲 使用温度範囲 1 or 2点検知 デジタルIC、NTCサーミスタは使用温度範囲内のどの点でも温度検知可能、ポジスタは保証された検知点温度での温度検知が一般的
部品コスト ★★★ ★★ 素子単体ではNTCサーミスタよりも一般的には価格は高いが、A/Dコンバータ不要で回路設計が可能となるため回路トータルではメリットがあるケースがある
回路コスト ★★★ ★★★
応答性 ★★ ★★ 素子サイズが0603~と非常に小型であるため、IC温度センサに対してメリットがあり、NTCサーミスタとは同等レベルの応答性
ノイズ耐性 ★★ ★★★
@high temp.
通常時と過熱時の出力電圧差が大きいため、他温度センサに対して実使用において高いノイズ耐性を有する
回路例
Digital ICの回路例
NTCサーミスタの回路例
PTCサーミスタの回路例

過熱保護・過熱検知としての用途・使用例

民生用途

ウェアラブルデバイス、サーバ、PC、電源などの電子機器にお使いいただけます。
また、PCやサーバといった、高性能、高密度な回路において(電源回路部、コネクタ)複数の発熱点がある場合にご使用いただけます。複数のFETの温度をひとつの検知回路で検出できる例を【応用例】に示しています。異常発熱の際のフェールセーフ機能として有効です。

ウェアラブルデバイス

  • ウェアラブルデバイスのイメージ画像
  • 回路のイメージ図
  • 搭載位置

ウェアラブルデバイス推奨品番

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サーバ

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  • 回路のイメージ図
  • 搭載位置

サーバ推奨品番

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その他、空調機、スマートウォッチ、LED照明、AR/VRにも幅広く活躍します。

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車載用途

車載ECU、車載LEDライト、IVI、BMSなどのxEVにもご使用いただけます。
またたとえば、バッテリーやインレットなど広い範囲での温度検知が必要な際に応用可能です。複数のバッテリーの温度をひとつの検知回路で検出できる例を【応用例】に示しています。バッテリーひとつひとつの異常過熱の検知によるフェールセーフ機能として有効です。

各種ECU

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ECU推奨品番

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インバータ

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  • 回路のイメージ図
  • 搭載位置

インバータ推奨品番

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その他、DCDCコンバータ、LEDライトなどにも幅広く活躍します。

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過熱保護・過熱検知としてのPTCサーミスタ(ポジスタ)の選び方

検知したい温度から品番を選定します。(検知温度1、2を確認)
下図にPRF18シリーズの標準ラインアップを示しております。
高い検知精度が必要であれば狭偏差シリーズを選定します。PTCの直列接続による多点検知を検討される際、10倍点の検知温度では閾値を設定できない場合は100倍点の検知温度で閾値を設定します。
例としてラインアップを下図/表に示します。

検知点温度のグラフ

PRF18シリーズの検知温度ラインアップ例

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民生品番 車載品番 検知点温度1 検知点温度2
PRF18AS471QB5RB PRF18AS471QS5RB 145℃ -
PRF18AR471QB5RB PRF18AR471QS5RB 135℃ 150℃
PRF18BA471QB5RB PRF18BA471QS5RB 125℃ 140℃
PRF18BB471QB5RB PRF18BB471QS5RB 115℃ 130℃
PRF18BC471QB5RB PRF18BC471QS5RB 105℃ 120℃
PRF18BD471QB5RB PRF18BD471QS5RB 95℃ 110℃
PRF18BE471QB5RB PRF18BE471QS5RB 85℃ 100℃
PRF18BF471QB5RB PRF18BF471QS5RB 75℃ 90℃
PRF18BG471QB5RB PRF18BG471QS5RB 65℃ 80℃

品番ごとの仕様詳細は、製品ラインアップよりご確認いただけます。

PRF18シリーズの高精度温度検知ラインアップ例

サイズ/用途によっては下図/表に示すよう検知温度1の温度検知精度の高いラインアップもございます。標準品の検知点温度1の温度精度が±5℃に対して高精度品では±3℃を保証します。

検知点温度のグラフ
左右にスワイプ可能です 横持ちでご覧ください
民生品番 車載品番 検知点温度1 検知点温度2
PRF18BB471RB5RB PRF18BB471RS5RB 115℃ 130℃
PRF18BC471RB5RB PRF18BC471RS5RB 105℃ 120℃
PRF18BD471RB5RB PRF18BD471RS5RB 95℃ 110℃
PRF18BE471RB5RB PRF18BE471RS5RB 85℃ 100℃
PRF18BF471RB5RB PRF18BF471RS5RB 75℃ 90℃
PRF18BG471RB5RB PRF18BG471RS5RB 65℃ 80℃

品番ごとの仕様詳細は、製品ラインアップよりご確認いただけます。

選定時の注意点は?

  • 使用する回路電圧が、ポジスタの最大電圧を超えないように選定ください。
  • 使用温度範囲内でご使用ください。
  • 検知温度以外の抵抗温度特性は、各品番の抵抗温度特性データを参照ください。
  • 一般環境(常温、常湿、常圧の室内)での使用をもとに設計したものです。ご使用される環境条件(高温多湿、粉塵、振動など)にご注意ください。

【応用例】多点検知としての用途・使用例

多点検知の応用使用例として下記に民生用途としてPC、車載用途そしてバッテリーとインレットの例を示しています。
高性能、高密度な回路(電源回路部、コネクタ)やバッテリーパックなど複数の発熱点がある場合にご使用いただけます。複数のFETの温度をひとつの検知回路で検出できる例を下図に示しています。異常発熱の際のフェールセーフ機能として有効です。

RPF多連使い使用例

PC

PCの基板は多機能かつ、電子部品が高密度実装されることで発熱部品(部分)が非常に多いです。PTCサーミスタを使用することで複数の発熱点(素子)の温度をひとつの温度検知回路で監視することが可能です。
細かい温度制御が必要な素子、箇所はNTCサーミスタを使用、過熱のみを監視したい素子、箇所はPTCサーミスタを使用することを推奨しております。
2種類のサーミスタを使用zすることで効率的な温度監視が可能になります。

RPF多連使い温度検知例

バッテリー

車に使用されるバッテリーやESSでは多くのバッテリーが使用されます。
特にリチウムイオン電池は発熱の懸念も大きいと想定しております。
PRFシリーズを使うことで複数のリチウムイオン電池の温度をひとつの回路で監視が可能です。該当アプリケーションの安全性への貢献が可能です。
ただし、ひとつの温度検知回路で過熱検知をする場合、細かい温度制御は難しいです。
セルの温度を段階的に監視、制御したい場合は別温度検知回路を設計する必要があります。
NTCサーミスタでの段階的制御用回路+PTCサーミスタで複数セルをひとつの回路で監視する回路の2つの回路でセルの温度を監視することを推奨しております。

CSSタイプインレットイメージ

車載インレット

安全性の観点で電力端子温度の過熱検知が必要だと想定しています。
特に車載用のインレットでは電力端子の数が多く一般的な温度センサを使う場合過熱検知回路、A/Dポートも温度センサ分日知用となります。
PRFシリーズを使うことで複数の電力端子を左記イメージのようにひとつの温度検知回路、ひとつのA/Dポートで温度を監視することが可能となります。
簡易的にフェールセーフ機能を追加することが可能です。

【応用例】PRFの多連使い

PRFを使用した過熱検知回路例
PRFを使用した過熱検知回路例のグラフ

上図【PRFを使用した過熱検知回路例】のように、PRFを直列につなげるだけで、複数箇所の過熱検知も可能です。温度上昇にともなうPRFの抵抗値変化は非常に大きいので、過熱状態を判断するVoutの閾値と常温付近のVoutの間には、十分なマージンを確保することができます。

同品番の多連接続数によるVout

同品番の多連接続数によるVoutのグラフ

【PRFを使用した過熱検知回路例】を使用し、多連接続数を変更した際のそれぞれの多連数でのVoutを示します。接続数が増えることで検知点以下の抵抗値が大きくなり、10倍点での閾値設定が難しくなることがあります。100倍点であれば十分なマージンを持った閾値の設定が可能となります。

異なる品番を多連接続した際のVout

異なる品番を多連接続した際のVoutの回路例
異なる品番を多連接続した際のVoutのグラフ

上記回路を使用し、それぞれ異なる品番を3つ接続した際のVoutをグラフに示します。グラフはいずれかひとつの品番の周囲温度が上昇した際のVoutを示したグラフになっています。初期抵抗値は品番が異なっても同様かつ、検知点温度は異なるが、10倍点/100倍点の抵抗値も前品番同様となるため、同じ閾値設定で過熱検知が可能となります。

設計支援ツールSimSurfing

PTCサーミスタの動作シミュレーターツールです。出力電圧、温度誤差などをご確認いただけます。

SimSurfingのイメージ画像

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