SubTitleIconNo01はじめに


当初、コンピュータと周辺機器を接続するためのデジタルインターフェイスとして開発されたUSBはいまやモバイル機器やIoTを含めた汎用のインターフェイスとして広く使われています。


当初最大12Mbpsであった伝送速度はUSB2.0で最大480Mbpsとなり、最新のUSB3.1 gen1では最大5Gbpsと高速化されています。これと同時に、コネクタ形状も使い勝手と電力供給能力を改善したType-Cコネクタが設定され、より使いやすくなっています。


SubTitleIconNo02USB3.1 機器のノイズ状況


USB3.1機器の放射ノイズはどんな状況でしょうか? 

USB3.1 gen1とノイズ状況が似ていると思われる、USB3.0のPCと外付けHDDを接続し、ここから放射されるノイズを観測してみました。(図1)

ここでは接続ケーブルとしてTypeA-TypeBのものとTypeC-TypeCのものを使用していますが、どちらのノイズレベルも不要輻射ノイズの規制値以下に収まっており、問題は出ていません。


図1 USB3.0機器の放射ノイズ


それではUSB3.1機器ではノイズ対策をする必要はないのでしょうか? 

実は、不要輻射といったノイズ規制とは別の理由でノイズ対策を行う必要があります。

SubTitleIconNo03USB3.1 機器のノイズ問題


最近のデジタル機器は通信機能を内蔵しているものが増えています。
代表的なのがスマートフォンです。スマートフォンには小さな筐体の中に様々なデジタル回路が組み込まれており、これらの回路でデジタルノイズが発生しています。

このノイズがスマートフォンのアンテナに入り込むと基地局からの電波にノイズが混じり、受信感度の低下に繋がります。
通常、デジタル基板から直接アンテナに入り込むノイズについては十分対策されますが、スマートフォンにUSBなどのインターフェイスケーブルを接続すると、このケーブルが放射源になって、アンテナに入り込むノイズが増加し、受信感度が低下することになります。


図2 USBケーブルを接続して通信


図3は簡易的な測定環境でLTE受信部アンテナに入り込むノイズを測定したものです。
USBケーブルが接続されたことにより、ノイズレベルが20dB近く増加していることがわかります。


図3 USBケーブル接続前後のアンテナに入り込むノイズ比較

SubTitleIconNo04USB3.1 機器のノイズ対策


USB3.1機器のノイズ対策にはコネクタ部にノイズフィルタを適用するのが効果的です。

ただし、信号ラインには高速の差動信号が流れているのでこの信号品位を損なわないように使用するフィルタについては注意する必要があります。

ノイズフィルタの一種であるコモンモードノイズフィルタは、差動信号にほとんど影響を与えることなく放射ノイズの主要因となるコモンモードノイズを効果的に除去することができます。弊社のUSB3.1用コモンモードノイズフィルタを差動信号の対となるラインに挿入します。(図4)

図4 コモンモードノイズフィルタの挿入箇所


コモンモードノイズフィルタを使用した結果、図5のようにアンテナに入り込んだノイズを最大10dB改善することができました。


図5 コモンモードノイズフィルタによるノイズ低減効果

USB3.1Gen1におすすめするコモンモードノイズフィルタについては以下のリンクを参照ください。

USB3.1Gen1におすすめするコモンモードノイズフィルタ

  1. NFP0QHB372HS2
  2. NFP0QHB542HS2


SubTitleIconNo05追加対策①グランド強化


さらに改善するために、ノイズフィルタを使う以外の対策も行いました。

USBケーブルにおいて、信号は差動伝送でツイストペアになっているので本来はノイズを放射しにくい構造となっています。

ところが、ケーブルのシールド部分にノイズが乗っていると、ここからノイズが放射されることがあります。この対策としてグランド強化を行いました。

この機器では、もともとUSBコネクタと基板の間は1つのネジと複数のフィンガーガスケットによって接続されていました。

USBコネクタのフレームとスマートフォン基板のグランドの間のインピーダンスが低くなるように、両者を銅箔テープでつないで強固に接続します。図6がその効果です。


図6 グランド強化の効果


グランド強化を行うことによってノイズレベルを6~8dB程度低減することができました。

SubTitleIconNo06追加対策②ケーブルの変更


USBケーブルの違いによっても放射されるノイズレベルが変化することがあります。

機器にもともと付属していたUSBケーブルを別の市販のUSBケーブルに変更してみました。

図7がその結果です。この場合、付属のケーブルのほうがノイズレベルが低く、最大10dB程度の差があり、適切なケーブルを選ぶこともノイズ対策に重要であることがわかります。

図7 ケーブルによるノイズレベルの違い

SubTitleIconNo07まとめ


これらの対策によって、図8に示すように、アンテナに入り込むノイズは最大20dB低減し、LTEの受信感度はバンドによりますが、8dBほど改善しています。
  
これにより、USBケーブルを接続した状態での受信レベルが改善し、圏外となりにくいUSB機器となりました。

対策内容

  • コモンモードノイズフィルタを挿入する 
  • グランドを強化する
  • 適切なUSBケーブルを選択する


図8 対策結果のまとめ


今回はUSB3.1 gen1のノイズ対策におけるノイズ対策例を紹介しましたが、これ以外にも高速差動インターフェイスのノイズ対策に適したコモンモードノイズフィルタ/コモンモードチョークコイルを紹介しています。以下のセレクションチャートを参考にしてください。

信号ライン用コモンモードチョークコイルセレクションチャート(一般グレード用)