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EMI除去フィルタ(EMC・ノイズ対策)車載マルチギガビットEthernetのEMI・ESD対策にコモンモードチョーク(CMC)が必要な理由[my Murata]

2026/07/01

車載Ethernetの1Gbps以下の規格では、コスト面で優位なUTP(Unshielded Twisted Pair:非シールドツイストペア)ケーブルと、コモンモードチョーク(CMC)を組み合わせたノイズ対策が一般的です。
一方、2.5GBASE-T1・5GBASE-T1・10GBASE-T1の車載マルチギガビットEthernet規格(IEEE 802.3ch)では、高速通信の信頼性確保を目的として、シールドを施したSTP(Shielded Twisted Pair:シールドツイストペア)ケーブルの使用が前提となる構成が採用されています。
STPケーブルはノイズ耐性が高いため、CMCは不要と考えられる場合があります。しかし実際には、STPケーブルを使用する場合でも、ICの特性や基板配線のアンバランスなどに起因してコモンモードノイズが発生し、放射ノイズの原因となります。
本記事では、車載マルチギガビットEthernetを模擬した環境で放射ノイズを測定し、CMCによる改善効果を検証します。あわせて、GNSSアンテナへのノイズ干渉低減効果と、ESD対策におけるCMCの有効性についても実験結果をもとに解説します。

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目次

1. 車載Ethernetの規格と使用ケーブルの違い

自動車の機能の高度化に伴い、車内の通信用として100Base-T1や1000BASE-T1などの車載Ethernetが普及しています。さらに高速な通信の需要に応じて2.5GBASE-T1、5GBASE-T1、10GBASE-T1といったマルチギガビットEthernet(Multi-Gig Ethernet)が登場しています。100BASE-T1(IEEE 802.3bw規格)や1000BASE-T1(IEEE 802.3bp規格)のような規格では、コスト的に優位であるUTP(Unshielded Twisted Pair:非シールドツイストペア)ケーブルを利用することが認められており、UTPケーブルとOPEN Allianceで規定された性能を満足するノイズ対策用のコモンモードチョーク(以下、CMC)を組み合わせて利用することが一般的でした。
一方、2.5G/5G/10GBASE-T1のマルチギガビットEthernet(IEEE 802.3ch規格)においては、シールドが施されているSTP(Shielded Twisted Pair)ケーブルを用いる構成が採用されています。STPケーブルはノイズ耐性が高いと考えられているため、IEEE 802.3ch規格ではCMCの搭載は必須要件として規定されていません。たしかに、STPケーブルはUTPケーブルに導体シールドを施したものであるため、UTPケーブルの弱点の一つであるツイストペアからのノイズ放射や外来ノイズの影響を低減する効果があります。ただし、通信ケーブルをSTPケーブルにするだけで、放射ノイズやコモンモードノイズ、ESDなどの課題を解決できるわけではありません。

図1 各規格で使用されるケーブルの伝送速度とケーブル仕様

2. マルチギガビットEthernetにおけるCMCの役割

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