NTCサーミスタNTCサーミスタとは?動作原理

NTCサーミスタの基礎知識

NTCサーミスタとは?

NTCサーミスタは、Negative Temperature Coefficientの頭文字をとったサーミスタで、一般的にサーミスタと言えばNTCサーミスタを示します。1833年、硫化銀の半導体を研究していたマイケル・ファラデーによって発見され、1930年代にサミュエル・ルーベンによって商品化されました。
NTCサーミスタの材料は、主にマンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)などを成分とする酸化物半導体セラミクスです。

NTCサーミスタは、我々の生活の中のあらゆるところに使用されており、温度が上がれば抵抗値が減少するという抵抗特性から、体温計やエアコンなどの温度検知、スマートフォン、ポット、アイロンなどの温度制御装置としてだけではなく、電源装置の電流制御用としても用いられています。
最近では、自動車が電動化されることにより、車載用にも多用されるようになっています。

村田製作所では、1984年頃からNTCサーミスタの量産を開始し、現在ではチップタイプをメインにラインアップをご用意しています。

動作原理

一般的に、金属は温度が上がると抵抗が増します。これは熱によって結晶格子の振動が大きくなり、自由電子の平均移動速度が遅くなるためです。

これに対して、半導体では熱によって自由電子やホールが増加します。その割合が結晶格子の振動による移動速度の低下より大きいために、抵抗は小さくなります。

また、半導体は小さなエネルギーバンドギャップを持つため、外部から熱を与えられると、価電子帯の電子は伝導体へ移動し電気を通します。つまり、温度上昇に伴い抵抗が小さくなります。

図1 : 半導体の電気伝導

用途

NTCサーミスタは、温度変化に対して抵抗値が3~5%/°Cと変化します。一般的な温度センサとして多くの電子機器に使用されています。

たとえば、スマートフォン。
スマートフォンを使用しているとき、“なんだか本体が熱くなった”経験はありませんか?
薄型で高機能なスマートフォンは、いわば小さなPCです。PCのように熱を逃がすファンなどが付いていないため、本体が熱くなる傾向があります。そのため、熱に敏感な精密部品が壊れてしまう危険があります。

ここで、NTCサーミスタの登場!
NTCサーミスタによりスマートフォン内部の温度を測定し、その温度情報を使って様々な制御を行っています。