導電性高分子アルミ電解コンデンサUSB Power Deliveryの使用例

USB Power Deliveryの市場トレンドと課題

USB Power Deliveryの使用例のイメージ画像
市場トレンドと課題の画像

昨今、USBはTypeCに共通化されています。従来の規格ではスマートフォンなどの小型デジタル機器への給電でしか使用できませんでしたが、USB PD(USB Power Delivery)規格の登場により、ノートPCなどの消費電力の大きい大型デジタル機器への電力供給が可能になりました。最新のUSB PD規格では電力の供給が最大100Wから240W(48V/5A)に引き上げられ、充電時間の大幅な短縮、コネクタの統一化、アダプタの買い替え不要などユーザーメリットも大きく、今後もこの用途が伸びていくことが期待されています。

  • USB PDとは : 「USB Power Delivery」の略

USB PDに使用するコンデンサに求められる性能

ムラタの高分子コンデンサ ECASシリーズの特長

ムラタの高分子コンデンサは、低ESR、低インピーダンス、大容量という特長を有しています。
さらに、静電容量のDCバイアス特性がなく、温度特性も安定しているためリップル吸収、平滑、過渡応答性能に優れています。
そのため、各種電源回路の入出力段の平滑用途や、CPU周辺の負荷変動に対するバックアップ用途に最適です。
これにより、部品点数の削減や基板面積の縮小に貢献します。

使用回路例

下図のような回路でご使用いただけます。
USB PDは電源ONの状態で抜き差しされる前提の規格なので、耐突入電流・耐ノイズのために電源ラインに大容量コンデンサが必要と考えられています。
また機器のサイズ制約により、小型かつ低背のアイテムが求められています。

使用回路例の図

ECASシリーズを使用するメリット

低騒音

ECASシリーズは圧電効果による機械的な振動がないため、MLCCに比べてきわめて音鳴きが小さく、耳障りな異音問題を解決できます。

  1. 従来型のMLCCのイメージ画像
  2. ECASシリーズのイメージ画像

大容量(セットの小型化)

小型のコンデンサとしてMLCCを多数並列に接続し使用されるケースがあります。
ECASシリーズはMLCCに比べて大容量かつDCバイアス特性がないため、静電容量が必要で多数のMLCCを使用しているアプリケーションにおいて員数削減、セットの小型化をすることができます。

大容量による数量削減のイメージ画像
Item トータル実効容量@12V 個数 トータル面積
ECAS 100uF/16V 100 1 31.39
MLCC 47uF/16V 99 9 72

温度変化・電圧変化に対する容量安定性

MLCCはDCバイアス特性や温度特性を有しており、直流電圧、周囲温度が変化すると実効容量が変化します。
それに対しECASシリーズは、DCバイアスや温度に対する静電容量変化がほとんどないため、温度や印加電圧による静電容量の変化を考慮することなく、安定した電源設計にご利用いただけます。

温度変化・電圧変化に対する容量安定性のグラフ1
温度変化・電圧変化に対する容量安定性のグラフ2

他のコンデンサとの比較

缶タイプのアルミ電解コンデンサとの比較

低背化

ECASシリーズは低背部品なのでUSB-PDを使用するモニターのスリム&スタイリッシュ化に貢献できます。
そうすると、スリムベゼルモニター(フレームレスモニター)と呼ばれるように、表示画面は薄く、さらに表示される領域は広くて見やすいモニターが完成します。
それ故、フレーム作業スペースが狭いオフィスでも無理なく設置できます。
また、昨今リモートワークが進み、作業効率向上の面で家庭内にモニターを置くことを検討する方も多くなりました。そのため、家庭でも設置場所を気にせず利用できるスリムなモニターは、ニーズが高い傾向にあります。さらに近頃では持ち運び可能なモニターも出てきており、出先で作業ができ、薄型化が進んでいるといえます。

缶タイプのアルミ電解コンデンサとの比較のイメージ画像
Item 製品高さ(max)
ECAS 47uF/16V 2.0mmT
缶アルミ電解コンデンサ 47uF/16V 4.5mmT
  1. 缶タイプのアルミ電解コンデンサを使用した従来のPCやモニターのイメージ画像
  2. ECASシリーズを使用した薄型のPCやモニターのイメージ画像

タンタルコンデンサとの比較

信頼性

ECASシリーズはタンタルコンデンサに比べて安定した信頼性を有しており、セットの安定した動作に貢献します。

信頼性のグラフ ※ 試験条件:高温負荷

偶発故障でショートとなった場合の比較

ECASシリーズはタンタルコンデンサに比べて燃えにくいので、偶発故障でショートとなった場合でも、ECASシリーズは発火リスクはきわめて低いです。

ECASシリーズ

ECASシリーズがショートした場合の画像。ショート直後はこげて煙が出るが、ショート部が絶縁化

タンタルコンデンサ

タンタルコンデンサがショートした場合の画像。ショート直後は激しく発火する場合がある

アプリケーションノート

USB Power Deliveryの使用例のPDF資料もご用意しております。
以下よりダウンロードしてご活用ください。

USB Power Delivery(USB PD)のアプリケーションノート (PDF: 0.3 MB)