導電性高分子アルミ電解コンデンサVRヘッドセットの使用例

市場トレンドと課題の画像1
市場トレンドと課題の画像2

現実世界と仮想世界の融合をあらわすXR(VR、AR、MRの相称)は近年目まぐるしく進化を遂げており、エンターテイメントだけでなく、医療や教育、製造現場など幅広い分野での普及が期待されています。
中でもVRは、”ヘッドセット”を頭部に着用して仮想世界を楽しみますが、VRの進化とともにヘッドセットも進化し続けており、内部に高性能ディスプレイを搭載した製品や、ピント調整機能など、よりダイナミックにVR世界に入り込む工夫がなされています。

現行のVRヘッドセットの課題

映像処理など機能充実化に伴い、VRヘッドセットに必要な部品点数が多くなる一方で、頭を上下左右に振って仮想世界を楽しむため長時間の使用でも疲労感が少ない小型のヘッドセットが求められます。さらに、故障時に危険性がないこと、安全性が重要です。

まとめると、VRヘッドセットに搭載される部品は、下記性能が求められます。

VRヘッドセットの特徴 VRヘッドセットに求められること 搭載部品に求められること
映像処理のため、高い消費電力が必要 ICなどへ、スムーズに電力供給を行う 大容量コンデンサ
VRヘッドセット自体の高機能化が進み、基板の高密度化 装着時の快適さ 薄型部品
ヘッドセットを直接頭部に装着し、目を覆う必要がある 安全性 発火リスクが少ない部品
装着時の快適さ 小型・薄型部品
不快な音なき(ノイズ)が発生しない低騒音部品

ムラタの高分子コンデンサ ECASシリーズの特長

ムラタの高分子コンデンサは、低ESR、低インピーダンス、大容量という特長を有しています。
さらに、静電容量のDCバイアス特性がなく、温度特性も安定しているためリップル吸収、平滑、過渡応答性能に優れています。
そのため、各種電源回路の入出力段の平滑用途や、CPU周辺の負荷変動に対するバックアップ用途に最適です。
これにより、部品点数の削減や基板面積の縮小に貢献します。
さらに、「音鳴きなし」「ショート時に発火の危険がない」メリットがあるため、ヘッドセット特有の課題を解決するコンデンサとして最適です。

使用回路例

バッテリーからパワーマネジメントIC(PMIC)間の安定化から各種ドライバICの電源供給時に有効に働きます。

使用回路例の図

ECASシリーズを使用するメリット

1 大容量

ECASシリーズはMLCCに比べて大容量かつ電圧依存性がないため、多数のMLCCを使用しているアプリケーションにおいて員数削減、セットの小型化をすることができます。

大容量による数量削減のイメージ画像
Item トータル実効容量@12V 個数 トータル面積
ECAS 100uF/16V 100 1 31.39
MLCC 47uF/16V 99 9 72

2 薄型

缶タイプのAl電解コンデンサと比べてECASシリーズは低背部品なので薄型、軽量化に貢献できます。

缶タイプのAl電解コンデンサに対するメリットのイメージ画像
Item 製品高さ(max)
ECAS 220uF/6.3V 2.0mmT
缶AI電解コンデンサ 220uF/6.3V 4.5mmT

3 ショート時に発火の危険性なし

ECASシリーズの故障モードは、エージングによる「オープンモード」が主体です。

(参考)故障・寿命について

ECASシリーズはタンタルコンデンサに比べて燃えにくいので、偶発故障でショートとなった場合でも、ECASシリーズは発火リスクはきわめて低いです。

ECASシリーズ

ECASシリーズがショートした場合の画像。ショート直後はこげて煙が出るが、ショート部が絶縁化

タンタルコンデンサ

タンタルコンデンサがショートした場合の画像。ショート直後は激しく発火する場合がある

4 音鳴きなし

ECASシリーズは音鳴きしにくい材料であるため、環境騒音低減に貢献します。

従来型のMLCC

従来型のMLCCのイメージ画像

▶をクリックすると実際の音鳴きを32秒間再生することができます。

人間にとって
可聴周波数 : 20~20kHz
不快なノイズ周波数 : 2k~4kHz
ワイヤレス給電に重ねて送られるデータ(2kHz)が聞こえるの図

ECASシリーズ

ECASシリーズのイメージ画像
製品比較の図