導電性高分子アルミ電解コンデンサSSDの使用例

市場トレンドと課題

市場トレンドと課題の画像1
市場トレンドと課題の画像2

昨今、SSD(Solid State Drive)は、HDD(Hard Disk Drive)よりも早いデータ処理速度、形状設計の自由度の高さ、小型・軽量などのメリットを活かし、HDDからの置き換えが進んでいます。Note PCから徐々に導入が開始され、近年ではデータセンター / サーバなどのハイエンド機器向けにエンタープライズグレードSSDの導入が広がってきており、大量のデータを高速に処理する必要のある用途(動画ストリーミングなど)に需要拡大が進んでいます。

エンタープライズグレードSSDには、揮発性メモリであるDRAMを高速キャッシュメモリとして使用しているため、万が一の電源切断時には、コンデンサで充電された電力を使って補う保護機能パワーロス・プロテクション(Power Loss Protection -PLP)が搭載されています。PLPとは、停電などの予期しない電源遮断が起こったときにデータやメモリを守る機能のことで、バックアップ回路とも呼ばれます。

村田製作所の導電性ポリマー電解コンデンサは、DCバイアスがなく、高容量なコンデンサであるため、部品点数の削減が可能です。また、高信頼・高寿命であるため、製品ライフタイムを通して安定した容量特性を発揮できます。

使用回路例

下図のような回路でご使用いただけます。
万が一の電源切断時には、コンデンサで充電された電力を使って補う保護機能パワーロス・プロテクション(Power Loss Protection -PLP)が搭載されています。
DRAMは揮発性のメモリであるために常時電力の供給が必要であり、コンデンサで電力をバックアップすることが求められます。

使用回路例の図

ECASシリーズを使用するメリット

容量安定性

長期間お使いいただいても安定した容量でお使いいただけます。
以下の例で100mJが必要な場合、ECASシリーズでは10個ですが、タンタルコンデンサの場合14個相当必要です。あらかじめ寿命を想定して、員数を増やす必要なくお使いいただけます。

キャパシタの材料の違いによっては、長期間の間に生じる容量低下に差が生じる場合があります。

タンタルコンデンサを用いた場合 容量安定性のグラフ1
ECASシリーズを用いた場合 容量安定性のグラフ2
  • 1個のキャパシタから供給可能なエネルギー(85°C環境で5年間使用した場合を想定)

容量低下を考慮した設計を行うには、製品ライフ寿命(End of life)を考慮した員数の部品を搭載する必要があります。

容量安定性の員数に関するイメージ画像
  • 100mJのエネルギーを供給するために必要なキャパシタの数(85°C環境で5年間使用した場合を想定)

ほかのコンデンサとの比較

タンタルコンデンサに対するメリット

信頼性

ECASシリーズはタンタルコンデンサに比べて安定した信頼性を有しており、セットの安定した動作に貢献します。

信頼性のグラフ ※ 試験条件:高温負荷

偶発故障でショートとなった場合の比較

ECASシリーズはタンタルコンデンサに比べて燃えにくいので、偶発故障でショートとなった場合でも、ECASシリーズは発火リスクはきわめて低いです。

ECASシリーズ

ECASシリーズがショートした場合の画像。ショート直後はこげて煙が出るが、ショート部が絶縁化

タンタルコンデンサ

タンタルコンデンサがショートした場合の画像。ショート直後は激しく発火する場合がある

MLCCに対するメリット

大容量による数量削減

小型のコンデンサとしてMLCCを多数並列に接続し使用されるケースがあります。
ECASシリーズはMLCCに比べて大容量かつDCバイアス特性がないため、静電容量が必要で多数のMLCCを使用しているアプリケーションにおいて員数削減、セットの小型化をすることができます。

大容量による数量削減のイメージ画像
Item トータル実効容量@12V 個数 トータル面積
ECAS 100uF/16V 100 1 31.39
MLCC 47uF/16V 99 9 72

温度変化・電圧変化に対する容量安定性

MLCCはDCバイアス特性や温度特性を有しており、直流電圧、周囲温度が変化すると実効容量が変化します。
それに対しECASシリーズは、DCバイアスや温度に対する静電容量変化がほとんどないため、温度や印加電圧による静電容量の変化を考慮することなく、安定した電源設計にご利用いただけます。

温度変化・電圧変化に対する容量安定性のグラフ1
温度変化・電圧変化に対する容量安定性のグラフ2