AC/DC電源などのケーブルを有する機器のノイズ測定では、DC電源を変更したり、測定場所を変えたりすると、データの再現性や測定場所間の相関がしばしば問題となります。例えば、測定場所を変更すると、床下に配線されたケーブルの長さや接地条件が異なります。この変更による影響により、電源系のインピーダンスが変化します。これによりノイズ分布が異なるので、放射エミッションなどが変化します。
この電源系の影響を、三次元電磁界シミュレータと回路シミュレータを連携させ、DC電源ケーブル接続部のノイズの可視化を行いました。まずは、DC電源ケーブルの長さがどのような影響を与えるかをシミュレーションしました。
シミュレーションのモデルを図1に示します。本シミュレーションでは、DC-DCを搭載した基板にDC電源ケーブル(以下「ケーブル」)を接続し、そのケーブル端からDC電源を供給する構成としました。
図1(a)は電磁界シミュレーションのモデルです。基板は両面構造で、表面にはDC-DCや電源パターンを配置し、裏面にはGNDパターンを配置しています。部品配置を視覚的に理解しやすくするため、部品はダミーを配置しています。また、パターンの一部もダミーです。
図1(b)は回路シミュレータのモデルです。DC-DCは、スイッチ、ダイオード、インダクタ、コンデンサで構成しています。
DC電源ケーブルの長さを変更した時の放射エミッションを図2に、磁界分布を図3に示します。
ケーブルの長さにより、放射エミッションの共振周波数が変化することがわかります。
この接地していないときの磁界分布の特徴として、ケーブルの端面(DC電源入力部)の磁界が極小となります。接地すると磁界分布が変化します。
そのため、次は、グラウンドプレーンと接地した場合のシミュレーション結果を紹介します。
接地しないモデルは、基板の下に金属板を敷設したのみで、接続はしていません。接地したモデルでは、垂直に立てた金属板を2枚追加しました。その金属板を、それぞれ、DC電源ケーブルの端面や、基板の端面に接続しました(図4)。
このモデルを使用した場合の放射エミッションのシミュレーション結果を図5に、磁界分布を図6に示します。
接地前は、ケーブルの端面の磁界が極小値でしたが、接地により端面での磁界が増加しています。
この影響により、放射エミッションも変化しています。
このように、接地条件も、ノイズ測定において重要な要素となります。
以上、電源系がノイズに与える影響を紹介しました。
電源系により、インピーダンスが異なるので、測定条件を合わせることが重要となります。
そのため、ノイズ評価に関する規格によっては、DC電源ラインやAC電源ラインにインピーダンスを安定化させるため、LISN(Line Impedance Stabilization Network)やAMN(Artificial Mains Network)を挿入するよう定められています。